陸上競技の3部作、最後のテーマは「フィールド競技」です!

陸上競技観戦をさらに楽しむことができる【トラック競技】の面白さ「陸上競技って、ただ単に全力で走っているだけじゃないの?」 そう思っている方も多いかもしれませんが、実はトラック競技は、緻密なペース配分...
陸上競技観戦をさらに楽しむことができる【障害競技・リレー・ロードレース】の面白さ前回の記事では、陸上競技の最も基本的な「走る」競技であるトラック種目(短距離・中距離・長距離)の魅力をご紹介しました。 【トラック競技...

スタジアムの中央(芝生エリアや跳躍ピット)で繰り広げられる「フィールド競技」は、走る競技とは異なり、「どれだけ高く・遠くへ跳ぶか」「どれだけ遠くへ投げるか」という、人間の身体能力の極限を競う種目です。

一瞬の爆発力、数ミリ単位の技術、精度とパワー、そして選手たちの個性が光るフィールド競技の面白さを、最新の公認記録と共に解説します!

跳躍種目:重力に抗い、空中を支配するジャンパーたち

跳躍競技(ジャンプ)は、スピードをいかに効率よく「高さ」や「遠さ」のエネルギーへ変換するかという、物理と肉体の美しさが融合した種目です。

走り高跳び:重力に逆らう「背面跳び」の空中アート

【走り高跳び記録データ】
  • 世界記録:男子 2m45(J・ソトマヨル) / 女子 2m10(J・マフチフ ※2024年に37年ぶり更新)
  • 日本記録:男子 2m35(戸邉直人) / 女子 1m96(今井美希)

助走スピードを垂直方向の力に変え、2メートルを超えるバーを飛び越える種目です。現在では当たり前となっている「背面跳び(バーに対して背中を向けて跳ぶ方法)」は、1968年のメキシコ五輪でディック・フォスベリー選手が始めた革新的な技術でした。
空中での美しい「反り」と、バーの上で体をうねらせるようにかわしていく一瞬のボディコントロールが見どころです。

棒高跳び:しなるポールが描き出す「5m〜6mの空中戦」

【棒高跳び記録データ】
  • 世界記録:男子 6m26(A・デュプランティス ※2024年世界新) / 女子 5m06(E・イシンバエワ)
  • 日本記録:男子 5m83(澤野大地) / 女子 4m48(諸田実咲)

グラスファイバー等のしなるポール(棒)を使い、マンションの2階〜3階に相当する高さまで自らの体を放り投げる、陸上競技で最もスリリングな種目です。
全力疾走のスピードをポールに伝え、ポールが限界までたわんで元に戻る「反発力」を利用して一気に上昇します。空中での倒立、バーの越え方、そしてポールのしなりを極限まで引き出す技術など、まるでサーカスのような迫力があります。

走り幅跳び:1cmの踏み切りが生む「空中での空中散歩」

【走り幅跳び記録データ】
  • 世界記録:男子 8m95(M・パウエル) / 女子 7m52(G・チスチャコワ)
  • 日本記録:男子 8m40(城山正太郎) / 女子 6m97(秦澄美鈴)

全速力で走ってきて、幅20cmの踏み切り板ギリギリから砂場へ向かって跳ぶ競技です。
助走のスピードがそのまま跳躍距離に直結しますが、1mmでも踏み切り板を踏み越えると「無効試技(ファウル)」となってしまいます。空中でのバランスを保つための「はさみ跳び(空中で足をバタバタと走らせる動作)」や「そり跳び」の空中フォーム、着地で砂を巻き上げながら限界まで体を前に伸ばす技術が見どころです。

三段跳び:ホップ・ステップ・ジャンプの強烈な三段衝撃

【三段跳び記録データ】
  • 世界記録:男子 18m29(J・エドワーズ) / 女子 15m74(Y・ロハス)
  • 日本記録:男子 17m15(山下航平) / 女子 14m16(森本麻里子)

三段跳びは、ただ3回ジャンプするわけではなく、踏み切る足の順序が厳密に決まっています。例えば、右足で踏み切った場合、着地足の順序は「右(ホップ) ➔ 右(ステップ) ➔ 左(ジャンプ)」となり、最後に両足で砂場に着地します(つまり、右・右・左・両足の順になります)。
この同じ足で連続して着地・キックする「ホップ」から、反対の足へ体重移動する「ステップ」への移行は驚異的な筋力とバランスが求められます。着地時に選手にかかる衝撃は自重の最大10倍以上とも言われており、それに耐える強靭な肉体と、スピードを殺さない完璧なリズム感が求められる非常に過酷な競技です。

投てき種目:全身の力を1つの物体に凝縮して放つ「スローの鉄人たち」

投てき競技(スロー)は、ただ力自慢が投げるだけではありません。全身の回転運動やしなりを使い、物理法則を最大限に味方につける超精密なスポーツです。

やり投げ:最も美しい飛行曲線を描くやりと北口榛花選手の伝説

【やり投げ記録データ】
  • 世界記録:男子 98m48(J・ゼレズニー) / 女子 72m28(B・シュポタコバ)
  • 日本記録:男子 87m60(新井涼平) / 女子 67m38(北口榛花)

鋭いやりを助走をつけて投げ、その飛距離を競う種目です。投てき物自体が最も軽いため、追い風や空気の浮力をいかに捉えるかという「槍の飛行角度(約30°〜35°)」が命となります。

女子世界王者である北口榛花選手は、まさにこの「しなり」と「角度」の天才!彼女が放つやりは、まるでスタジアムの空に吸い込まれるように長く美しい放物線を描きます。競技の合間にフィールド上でカステラをもぐもぐ食べてリラックスする可愛らしい姿も有名ですね!

ハンマー投げ:重力と遠心力を手懐けるターン技術と「室伏伝説」

【ハンマー投げ記録データ】
  • 世界記録:男子 86m74(Y・セディフ) / 女子 82m98(A・ヴォダルチク)
  • 日本記録:男子 84m86(室伏広治) / 女子 70m51(渡邊茜)

7.26kg(女子は4.0kg)の鉄球にワイヤーと取っ手がついた「ハンマー」を、サークル内で3〜4回高速回転して投げる種目です。
回転によって生じる強烈な「遠心力」を全身で支え、適切なタイミングでリリースする技術が必要です。

ハンマー投げといえば、アテネ五輪金メダリストの室伏広治氏の数々の伝説は欠かせません!握力120kgオーバー、他の競技をやらせても超一流という規格外のパワーと、完璧なターンから放たれるハンマーはまさに弾道ミサイルでした。

砲丸投げ・円盤投げ:パワーと回転スピード、空気力学の融合

【砲丸投げ・円盤投げ記録データ】
  • 砲丸投げ世界記録:男子 23m56 / 女子 22m63
  • 砲丸投げ日本記録:男子 19m11(旅川広紀) / 女子 18m22(森千夏)
  • 円盤投げ世界記録:男子 74m35(M・アレクナ ※2024年世界新) / 女子 76m80
  • 円盤投げ日本記録:男子 62m59(堤雄司) / 女子 59m03(郡菜々佳)

砲丸投げは、首元に密着させた重い鉄球を、全身のバネを使って一気に「押し出す」種目です。巨漢の選手たちが回転(グライド)して爆発的なパワーを放つ瞬間は鳥肌ものです。
円盤投げは、重量のある皿のような円盤を指先で引っかけるように持ち、1回転半のスピンから放ちます。円盤は回転することで空気の浮力(揚力)を得て遠くまで飛ぶため、パワーだけでなく、風に乗せる緻密なテクニックが必要です。(※2024年に男子世界記録が38年ぶりに更新されたことでも大注目されました。)

まとめ:フィールド競技の魅力を知れば、スタジアム観戦がもっと楽しくなる!

テレビ中継ではどうしてもトラック走がメインになりがちですが、現地や複数画面での観戦では、同時並行で行われているフィールド競技こそが、スタジアムの熱気を二分する大興奮の要素です。

「高く、遠くへ」というシンプルかつ極限の美しさを持つ選手たちの戦いを、ぜひ応援してみてください!

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