先日、映画『バックドラフト』をみて感動したので、この記事を作成しました。
映画『バックドラフト』は、化学工場の火災現場で消火活動に奮闘する消防士のマカフレイ兄弟が主役。
ユニバーサルスタジオジャパンにおいても、開園以来大人気アトラクションの一つ。映画は見たことなくても、このアトラクションには入ったことがあるという人も多いはず!
火災シーンを再現したスタジアムは圧巻されます。
バックドラフト現象は、火災の現場の特定条件下で、爆発が起きる現象のことで映画のストーリー上においても重要な用語として登場しています。
そんなバックドラフト現象を理系が、誰でもわかるように解説したいと思います。
バックドラフト現象とは
火災現場で、密閉された室内で不完全燃焼がとなり、可燃性ガスである一酸化炭素が溜まります。
密閉状態から解放されることにより、一酸化炭素が放出され爆発的に燃焼がおきます。
これが、バックドラフトといわれる現象です。
完全燃焼と不完全燃焼の違い
燃焼反応のうち、可燃物のすべてが十分に酸化し燃焼生成物になる現象を『完全燃焼』と呼びます。
火災現場で主に発生するのは二酸化炭素です。
一方、酸素の供給が少なく、物質が十分に酸化しない場合は『不完全燃焼』と呼ばれます。
この際に発生気体が一酸化炭素です。
火災現場では、酸素の供給が十分であることは稀で室内での火災は不完全燃焼となることが多いです。
二酸化炭素と一酸化炭素の違い
同じ、酸素と炭素との化合物であるありますが、その性質は全く異なります。
二酸化炭素 | 一酸化炭素 | |
化学式 | CO2 | CO |
色、におい | 無色、無臭 | 無色、無臭 |
人体への有害性 | 無害 | 有害 |
可燃性 | なし | あり |
重さ(原子量) | 重い(44) | 軽い(28) |
本来、ものが燃えると以下の化学式で燃焼反応が行われます。
C+O2→CO2
しかし、一酸化炭素が発生する不完全燃焼下では酸素の供給が足りません。
2C+O2→2CO
イメージとしては、少ない酸素使って無理やり燃焼しているようなものです。
一酸化炭素は、とても不安定な物質であり、一つの酸素原子と早く繋がりたい。
なので、酸素とくっつけるチャンスを見つけると爆発的に反応するというわけです。
少量でも人体入ると、体内の酸素とくっついて二酸化炭素となり、酸欠になってしまいます。
これを『一酸化炭素中毒』と言います。
一酸化炭素中毒の危険性は火災現場だけではない
身近でも、一酸化炭素中毒の危険性が潜んでいます。
例えば、台所で使うガス給湯器がそうです。
整備不良などで、酸素の供給が不十分で、不完全燃焼となることがあります。
対策としては、2点です。
炎の色を見る。
青色なら完全燃焼(正常)
橙色、赤色なら不完全燃焼(異常)
給湯器を使うときは換気をする。
最近流行りのキャンプでも、焚き火をテントの中でして、一酸化炭素中毒で亡くなったという事故が多く発生しています。
焚き火は屋外で行う事が基本です。
テントメーカーにもテント内で焚き火をしないように謳っていると思います。
正しく知識と使用方法か確認して安全に使用してくださいね!
おわりに
今回は、バックドラフト現象について紹介しました。
バックドラフト現象の発生条件が満たしているか、消防士でも、見極めることができず、毎年、消火にあたる多くの消防士がこの現象で命を落としています。
映画バックドラフトでは、この現象を『生き物』と言っていました。
密閉された空間で潜み獲物が来るのを待ち構えている蛇みたいな生き物だ
最後に、火を使う際は、火事や一酸化炭素中毒に十分お気を付けください!
では、、、